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酒類卸売業免許と小売業免許の違いを徹底解説|種類・要件・費用

村瀬 亮介 / 更新:2026-06-24
酒類卸売業免許と小売業免許の違いを徹底解説|種類・要件・費用
「自分の事業に必要なのは卸売免許なのか、それとも小売免許なのか」。ここで迷う方がとても多いです。結論を先に言うと、見分け方はシンプルで、お酒を売る相手が事業者か、それとも消費者・飲食店かで決まります。

私は行政書士として、酒類販売業免許の申請を年間20件以上サポートしています。現場で「飲食店に卸したいから卸売免許ですよね?」と聞かれることが本当に多いのですが、これは間違い。飲食店への販売は小売免許の範囲です。

この記事では、卸売と小売の違いを根拠から整理し、卸売免許の種類ごとの取扱酒類・販売先の比較、取得要件、費用・期間、取得後の義務までまとめます。読み終わる頃には、自分に必要な免許がはっきりするはずです。

酒類卸売業免許と小売業免許の違いとは?まず結論

酒類販売業免許の「小売」と「卸売」の違いとは?
酒類販売業免許の「小売」と「卸売」の違いとは?

国税庁の整理では、酒類卸売業免許は酒類販売業者や酒類製造者などの事業者に継続的にお酒を販売するための免許です。逆に、消費者や飲食店への販売は卸売免許ではできません。

卸売は事業者向け・小売は消費者向け

ざっくり言えば、卸売は「売る相手もお酒を売る側の人」、小売は「売る相手がお酒を飲む(消費する)側の人」です。

小売業免許は、消費者や飲食店等への販売に使う区分。卸売業免許は、酒販店やメーカーといった事業者側への販売に使う区分です。同じ「お酒を売る」でも、相手が違えば必要な免許も変わります。

料飲店・飲食店への販売が小売免許になる理由

ここが一番つまずくポイント。飲食店は「お客さんにお酒を提供する事業者」ですが、免許制度の上では、飲食店への販売は卸売ではなく小売として扱われます。

理由は、飲食店が仕入れたお酒を「ボトルのまま販売する」のではなく「店内で提供=消費させる」立場だからです。つまり飲食店は最終的な消費の場であり、卸売の相手にあたる「酒類販売業者」ではありません。

だから、居酒屋やレストランに継続的にお酒を納品したいなら、必要なのは一般酒類小売業免許です。これを卸売だと思い込んで申請すると、区分から間違えます。

両者を見分ける判断ポイント

迷ったら、売る相手を一つずつ確認してください。

卸売か小売かの判断ポイント
売る相手必要な免許の区分
酒販店・スーパー・酒類製造者など酒類卸売業免許
一般の消費者(個人)酒類小売業免許
居酒屋・レストランなどの飲食店酒類小売業免許

酒類販売業免許の全体像と種類

卸売と小売の違いを正しく理解するには、まず酒類販売業免許という大きな枠を押さえると早いです。国税庁資料では、販売業免許は「小売」と「卸売」に大きく分かれます。

酒類販売業免許の全体像と種類

酒類販売業免許とは

お酒を継続的に販売するには、販売場ごとに税務署長の免許が必要です。これが酒類販売業免許。無免許で売れば酒税法違反になります。

この免許が「誰に売るか」で小売と卸売に分かれる、という構造をまず頭に入れてください。

酒類小売業免許の3区分

小売業免許は、販売方法によってさらに3つに分かれます。

酒類小売業免許の3区分
区分主な内容
一般酒類小売業免許店頭で消費者・飲食店に販売する基本の免許
通信販売酒類小売業免許2都道府県以上の広域な相手にネット・カタログで販売
特殊酒類小売業免許自社の従業員向け販売など特殊な事情がある場合

ネット通販でお酒を全国に売りたいなら、一般ではなく通信販売酒類小売業免許が要ります。ここも申請相談でよく混同される箇所です。

酒類卸売業免許の位置づけ

卸売業免許は、事業者間でお酒を流通させる役割を担う免許です。国税庁の区分では、卸売業免許は大きく4つに整理されています。

全酒類卸売業免許、ビール卸売業免許、洋酒卸売業免許、輸出入酒類卸売業免許の4区分です。

酒類卸売業免許の種類と取扱える酒類・販売先の比較

卸売業免許は「何を扱えるか」が区分ごとに細かく決まっています。全部のお酒を扱える免許もあれば、ビールだけ、洋酒だけ、という限定もあります。

酒類卸売業免許の種類と取扱える酒類・販売先の比較

全酒類卸売業免許とビール卸売業免許

全酒類卸売業免許は、すべての品目の酒類を卸売できる免許です。一番万能ですが、後で述べる通り、取得のハードルが圧倒的に高い。

ビール卸売業免許は、その名の通りビールだけを卸売する免許です。扱う品目が限られる分、全酒類より取得しやすい位置づけです。

洋酒・輸出入・自己商標の各卸売業免許

洋酒卸売業免許は、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒を扱える区分として整理されています。ワインや洋酒中心の卸売をするなら、まずこれが候補になります。

輸出入酒類卸売業免許は、自分で輸出または輸入したお酒を卸売するための免許です。海外取引を軸にするならこれです。

なお、「自己商標」「店頭販売」「協同組合員間」などの呼び方を見かけることがありますが、国税庁の要件緩和資料で示された卸売業免許の基本区分は前述の4つです。実務で名称を耳にしても、まずはこの4区分を軸に考えるのが整理しやすいと私は感じています。

店頭販売・協同組合員間・特殊酒類卸売業免許

特殊な販売形態に応じた卸売免許も存在しますが、最初に検討すべきは全酒類・ビール・洋酒・輸出入の4区分です。自分の取引先と扱う品目が固まれば、どれが必要かは自然と絞れます。

正直に言うと、最初から特殊な区分を狙うケースは少数派。多くの相談は、洋酒卸売か輸出入卸売のどちらかに落ち着きます。

種類別の取扱酒類と販売先の比較表

卸売業免許4区分の比較
取扱品目・基準数量は国税庁資料に基づく。販売先はいずれも事業者向け。
免許区分取扱える酒類主な販売先
全酒類卸売業免許すべての品目酒類販売業者・酒類製造者などの事業者
ビール卸売業免許ビール酒類販売業者・酒類製造者などの事業者
洋酒卸売業免許果実酒・ウイスキー・ブランデー・スピリッツ・リキュール等酒類販売業者・酒類製造者などの事業者
輸出入酒類卸売業免許自己が輸出入する酒類酒類販売業者・酒類製造者などの事業者

どの卸売区分でも、消費者や飲食店への小売は不可。ここは共通の大原則です。

卸売業免許の取得要件と全酒類卸売業免許の難しさ

酒類販売免許|結局どれを取ればいい?小売と卸売の違いを専門家が徹底解説
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卸売免許は、誰でも申請すれば取れるものではありません。経験・知識・資金などの要件をクリアする必要があり、特に全酒類卸売業免許は別格の難しさがあります。

経験・知識・資金・需給調整の各要件

卸売免許の審査では、人的要件(過去の法令違反などがないか)、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件が見られます。

経営基礎要件のひとつが、取扱見込数量などに関する基準。国税庁は平成24年9月1日から要件緩和を適用し、基準数量を引き下げました。

経営基礎要件の基準数量(改正前→改正後)
国税庁「酒類卸売業免許の要件緩和等について」より。単位はキロリットル。
免許区分改正前改正後
全酒類卸売業免許720 または 270100
ビール卸売業免許360・240・12050
洋酒卸売業免許36 または 24廃止

注目したいのは洋酒卸売業免許。基準数量が廃止されたことで、数量面のハードルが下がりました。洋酒中心の卸売を考える人には追い風です。

全酒類卸売業免許の数量枠と抽選の仕組み

全酒類卸売業免許とビール卸売業免許には、免許可能件数という枠があります。国税庁は要件緩和の際、この件数の計算方法も変更しました。

枠がある以上、申請が枠を超えれば全員は取れません。申請者が多い場合は抽選で対象者を決める仕組みが運用されています。つまり、要件を満たしても運の要素が入る。ここが全酒類卸売業免許が「最難関」と言われる理由です。

私の実感として、まず全酒類を狙うより、扱う品目に合わせて洋酒や輸出入の区分から入る方が現実的なケースが多いです。

個人事業主と法人で異なる要件・手続き

個人でも法人でも卸売免許は申請できます。ただし提出書類が変わります。

法人なら定款や登記事項証明書、役員全員分の確認資料が要ります。個人なら本人の経歴や資金関係の書類が中心。資金面では、仕入れと運転資金をどう用意したかを説明できるかどうかが審査で効いてきます。

免許取得の費用・期間・申請書類の進め方

費用と期間は、相談で必ず聞かれる項目です。ここは正直に書きます。最新の申請手数料や標準処理期間は、今回確認できた公式一次情報の範囲では数値を断定できませんでした。

免許取得の費用・期間・申請書類の進め方

登録免許税と費用・期間の目安

登録免許税の額や標準処理期間については、申請する税務署の手引きや申請様式で必ず最新の数値を確認してください。区分や時期によって扱いが変わるため、ここで不確かな数字を出すのは避けます。

行政書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。報酬相場は事務所により幅があるので、見積もりを取って比較するのが確実です。

申請書類の書き方と記載例

申請の中心は、免許申請書、販売場の地図、事業計画、収支見込み、仕入れ・販売の取引先を示す資料です。

特に重要なのが取引予定先の裏付け。卸売は事業者相手なので、「どの事業者にどれくらい売る見込みか」を具体的に書けるかが審査の山場です。取引承諾書や見積りなど、相手の存在が分かる資料を添えると説得力が出ます。

私が書類を作るときは、見込数量の根拠を一行で済ませず、取引先ごとに分けて積み上げます。数字に「なぜその量か」が見えると、審査がスムーズです。

卸売と小売を両方取得する場合の注意点

卸売と小売を両方やりたい、という相談は珍しくありません。結論、両方の免許を取れば可能です。

ただし、それぞれ別の免許として要件を満たす必要があります。卸売は事業者向け、小売は消費者・飲食店向けと、販売の実態も帳簿も分けて管理することになります。「一つ取れば両方できる」わけではない、という点だけ誤解しないでください。

免許取得後に必要な義務と違反した場合の罰則

免許は「取って終わり」ではありません。取得後にも継続的な義務があり、守らなければ罰則や免許取消の対象になります。

免許取得後に必要な義務と違反した場合の罰則

記帳義務・報告・酒類販売管理者の選任

酒類販売業者には、仕入れと販売の記帳義務があります。いつ、誰から、何を、どれだけ仕入れて売ったかを記録する。これは卸売でも小売でも基本です。

加えて、販売数量などを税務署に報告する義務があります。小売の販売場では、酒類販売管理者の選任も求められます。

販売区域・販売場の制限

免許は販売場ごとに与えられます。だから免許を受けた販売場以外で売ることはできません。

販売場を移転したり増やしたりするときは、改めて手続きが必要です。「本店で免許を取ったから支店でも売れる」とはいきません。ここを見落とすと、知らないうちに無免許販売になりかねない。

違反による罰則と免許取消の事例

無免許で酒類を販売すれば、酒税法に基づく処罰の対象です。記帳や報告の義務違反、免許条件への違反も、是正命令や免許取消につながります。

特に怖いのは、区分外の販売。卸売免許で飲食店に売り続ける、といった行為は条件違反です。「取引先が増えてつい売ってしまった」では済みません。区分は最初に正しく選ぶことが、結局は一番のリスク回避です。

失敗しないための実務上の留意点と専門家活用

酒類販売業免許(小売業免許)について解説しました(松田行政書士事務所/沖縄県読谷村)
酒類販売業免許(小売業免許)について解説しました(松田行政書士事務所/沖縄県読谷村)

申請でつまずく人には共通点があります。区分の選び間違いと、取引先の裏付け不足。この2つで却下や差し戻しになるケースを何度も見てきました。

ネット通販・輸出入で卸売を行う際の落とし穴

ネットで全国の事業者にお酒を卸したい場合、必要なのは卸売の免許であって、通信販売酒類小売業免許ではありません。通販の小売免許は、あくまで消費者相手の区分です。ここを取り違えると、やりたい商売ができません。

輸出入で卸売をするなら、輸出入酒類卸売業免許の範囲を確認すること。自分が輸出入したお酒を卸す免許なので、他社が輸入したお酒を国内で広く卸す、といった形は別途検討が要ります。取引の流れを図にして整理すると、必要な区分が見えてきます。

行政書士に依頼するメリットと費用相場

自力でも申請はできます。ただ、卸売は小売より書類が重く、取引先の裏付けや事業計画の作り込みで差が出ます。

行政書士に頼むメリットは、区分の判断と書類の精度を最初から固められること。報酬は事務所ごとに差があるので、複数の見積もりを取って内容を比べるのが賢明です。

私の立場で正直に言えば、洋酒や輸出入のように要件が読みやすい区分なら自力も十分可能。一方、全酒類のように枠と抽選が絡む区分は、準備の精度がものを言うので、専門家を入れる価値が大きいと考えています。

酒類卸売業免許の違いに関するよくある質問

相談でよく出る質問を、結論優先でまとめました。

酒類卸売業免許の違いに関するよくある質問

よくある質問

卸売業免許と小売業免許の違いは何ですか?
売る相手が違います。卸売業免許は酒類販売業者や酒類製造者などの事業者向けに継続的に販売する免許で、消費者や飲食店への販売はできません。小売業免許は消費者や飲食店等への販売に使う区分です。
卸売業免許の取得費用はいくらですか?
登録免許税などの公的費用がかかりますが、最新の金額は今回確認できた公式一次情報の範囲では断定できないため、申請先の税務署の手引きや申請様式で確認してください。行政書士に依頼する場合は別途報酬がかかり、相場は事務所により幅があります。
卸売業免許の始め方・手順は?
まず扱う品目と販売先を整理し、全酒類・ビール・洋酒・輸出入の4区分から必要な区分を選びます。次に人的・場所的・経営基礎・需給調整の各要件を確認し、申請書・事業計画・取引先の裏付け資料を揃えて、販売場を管轄する税務署に申請します。全酒類は枠と抽選があるため、難易度が高い点に注意してください。

最後にひとつだけ。免許選びは最初の区分判断が9割です。売る相手が事業者か消費者・飲食店かを紙に書き出すところから始めてください。そこが固まれば、必要な免許は驚くほどはっきりします。

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村瀬 亮介

行政書士(酒類販売業免許申請を中心に年間20件以上サポート)

行政書士として酒類販売業免許の申請サポートを専門に扱い、実際の申請経験をもとに手続きの実態をわかりやすく解説します。公式情報と現場感覚の両方を大切に執筆しています。

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